扇動のための不当表示としての「リフレ派」 part45

トラックバックが来たんですが、特に反論するつもりはありません。
扇動のための不当表示としての「リフレ派」?: ニュースの社会科学的な裏側
リフレ論の中身を改めてざっくり整理してくださってるので、それはそれでよろしいわけです。


で、問題は、


「こういう真面目な人が真面目に『分類』して、それがどうかしたんですか?」


という一言に尽きます。その分類は建前としては結構、だけどリフレ派の実態としてはどうなんですか?

・・・

なぜ「不当表示」なのかと言えば、


「リフレ論」が真面目な政策論、実現可能な政策を実現させるためにどうすればいいか考えようという話、


ではなくて、


自分の主張や感情をぶつけるための単なるネタとしての「リフレ論」、


だったんじゃないかということで、つまり真面目な政策論争のふりをしてるだけではないか、それは「不当表示」だろ、と。


そこで「扇動のための」というのは、たとえば、


・小さな政府志向の人が、大きな政府志向とは別の論をとるため、財政出動をさせないため、適当な議論としてたまたまリフレ論があって利用された


というのが一つありそうだけど、これはまだ真面目な方だと思うんですよ。もっとひどいのは、


日本銀行や中央の官僚を罵倒するためのネタとしてのリフレ論。そのためにはリフレ論の実現可能性は閑却する、あるいはむしろ実現不可能であるほうがやりやすい


・・・ということもある。多分まだありそうだけど、今すぐ思いつかない。


はっきり言えば、「だったらこれまで延々と繰り返し議論されたリフレ論って一体なんだったの?」と言わざるを得ないのがリフレ派の実態じゃないですか。

・・・

上のエントリには冒頭、
扇動のための不当表示としての「リフレ派」?: ニュースの社会科学的な裏側

通貨膨張政策(リフレーション政策)を主張する人々を、リフレ派と呼ぶのは自然に思える。中身はまともな経済学者から、理論的な背景が不明確な人々まで色々いるし、インフレ・ターゲティングや財政政策の是非への見解が分かれるので、統一した何かと言うわけでは無い。

と書いておられるわけだけれども、まあ、政策の話としてのリフレ論に限定すればそれでもいいわけです。


以前、ネットの左翼がリフレ派やリフレ絡みの政治家たちの右翼っぷりを批判して問題になったことがありますけど、このときは、百歩譲って右も左もなんとか呉越同舟しろ、という議論もできないわけではなかった。どちらかというと政治の問題なので。


ところが震災後、電力供給問題という大問題が起きた時、リフレ派は原発の話一つとってもまとまれなかった。目先の経済の問題としては消費税よりはるかに重要な問題であるはずなのに。


むしろ、高橋洋一あたりを筆頭に、東京電力叩きを過熱させて煽るばかりで、


日本銀行や中央の官僚を罵倒するためのネタ」


と同系統だった。しかも高橋の場合だと、燃料代の問題は円安になれば解決するといって、強引に我田引水、リフレ論の宣伝に持ち込んだりしましたね。


支持されているリフレ論の色合いの違いを真面目に分類するのは、こうなっちゃうと意味がない。


あと、

妄信的な人々がいて気に障ると言う意見もあるが、

と、私のエントリに触れたhamachan先生の記事にリンクしておられますけど、これはちょっと違います。


妄信的な人々がいて気に障るからイヤだという議論ではなくて、妄信的な人々が無茶苦茶を言うようになっているのが問題だということなんですよ。


で、何が無茶苦茶かというのは今までも書いてきたところだけれども、本来ならば無茶苦茶を言っている人に対してはリフレ派内部で批判されておくべきでした。


ところが、仲間内に対しては大甘で、原発の問題一つまとまれない集団なのに、外部からこうやって批判されると急に「イヤそれは違う」と言って自己正当化の議論を始め、自分に向けられた批判に反論する。


ニセ科学批判もそうだったんですよ。そもそもニセ科学批判ってなんですか、という時点でニセ科学批判を支持する人の言うことはバラバラだったけど、外部から批判されると「それは違う」「周回遅れ」とか言って自己正当化する。こういう様子を、まるでネット右翼じゃないかと言ってみたり、「ネット○○派」として括ってみたりしたわけです。


残念ながら、リフレ派も真面目にリフレ論を論じて実現に向けて努力する、というような集団じゃない。


実態は、リフレ論を酒の肴に気に食わないものをみんなで罵倒する集団、自分(たち)は賢いということを確認するだけの集団、でしかなくなった。


だから、いくら「主張で分類」してみたところでそれは無駄だし無意味で、実態を反映したものにはならんでしょう、と。

追記
https://twitter.com/WATERMAN1996/status/219675256040861696

@fukubasky @kamille_a @hiroppe3rd リフレ派が一枚岩でないことが批判されているように感じるんですよ。リフレ派なら経済厚生の点から総じて原発再稼働に賛成のはずだ、みたいな。いや、私は賛成ですけど、そうでない人がいても不思議ではないですよね。

まあ、ここははっきり書いておくと、リフレ派が一枚岩でないことが問題なのではありません。


原発再稼働のような、目先の経済に関して根本的に重要な問題についてまとまれないなら、リフレ派が日本経済のことを心配しているその「心配」の実態はなんですか、日本経済のことなんてなんも気にしちゃいないんでしょってことです。一枚岩でないことが問題なのではない。


さらに、自分は原発再稼働に賛成だけど、と留保をしておきながら、そうではない意見の人がいてもいいという甘い姿勢が問題だと言ってるんです。身内にはこれだけ甘い癖に、外部からの批判は基本的に認めようとしないじゃありませんか。


最後に、身内に甘い証拠に、まず高橋洋一を筆頭に大学の先生がたの無茶な主張やおかしな言い分について断固批判するのが筋なのに誰もやろうとしないのがおかしいんであって、今すぐ、煽り手の先生のおかしな主張は最初から洗いなおして批判してください、と。


そういう意識が皆無だから、だからリフレ派は負けたんですよって。