扇動のための不当表示としての「リフレ派」 part28

財務官僚の人のブログだけれど。
ある勉強会で感じたこと | 日英行政官日記 (旧 英国日記帳) - 楽天ブログ

先輩であり、今や日本を代表する政治学者の一人である政策研究大学院大学の竹中治堅さんの主宰される勉強会で、「社会保障と税の一体改革」についてプレゼンをさせていただいた。この勉強会はいつも、参加者のレベルが非常に高く、各界で活躍される30代〜40代ぐらいのビジネス・パーソンが集まる。プレゼン資料も、一般的・基礎的な部分はできるだけ割愛し、いわば「応用編」として、世間によくある「反論」への再反論を厚めに用意した。

この日のように、民間企業でしのぎを削っている若手・中堅のビジネス・パーソンを相手にすると、多くの場合、以下のようなコメントが返ってくる。赤字体質を放置することは、民間企業の経営では考えられない。顧客に値上げをお願いする前に、まずはコストの徹底的な削減を行うのが常識であり、社会保障費を大胆にカットすべきだ。これは全く正論である。しかし、留意しなければならない点がある。まず、民間企業の経営と国家財政のアナロジーは、分かりやすいし、重要な視点であるのは間違いないが、両者の間には根本的な相違がある。

で、毎度の議論がずらっと来て、

議論の中でもう一つ感じた意識のギャップは、社会保障についての考え方である。この勉強会においては、社会保障を減らすべきだとの意見が大勢だったが、別の場所では必ずしもそうではない。特に、国会議員の議論では、もっと社会保障を充実すべきとの声は強く、それは、国会議員が日々接している有権者の声の反映でもあろう。もちろん、そうした声があるからといって社会保障費を野放図に増やしてよいわけではないが、社会保障を大幅に削減すべきとためらいなく言える人々は、やはり社会の中で相対的に恵まれた層に限られるのではないだろうか。

もちろん、いろんな考え方があるだろうからそれはそれでいいんだけれども、ネットでも「小さい政府」のつもりでこの種の議論を展開したり、官僚を叩いて喜んでるのは「民間企業でしのぎを削っている若手・中堅のビジネス・パーソン」あたりが相当いるのではないかと思う。


で、面白いなあと思うのはこういう人たちはやっぱり「社会の中で相対的に恵まれた層」のはずだと僕も思うんだけれども、この種の勉強会では社会保障なんぞもっと切ればいいじゃないかと、正論ではあっても政治的に実現可能性の低そうなことをばっさばっさ言えても、でも表だって悪役には誰もなりたくないものだから、ネットあたりだと弱者にも優しい顔なんぞを心にもなくしたがったり、してんじゃないの。。。