扇動のための不当表示としての「リフレ派」 part10

はてなでない某ブログを見てちょっと思ったんだけど、そらね、中央銀行の独立性が確保されてる理由って、ようは高い専門性を保持した集団に判断をゆだねよう、政治によっていろいろ捻じ曲げられることがないようにしようと、ま、分かりやすく書くとそういうことだと思うんですよ。


でも、現実はなかなかそうはいかない。理屈通りにいくものではない、あれを考えこれを配慮して、やっと一つのものができあがる、んじゃないの。そのあれこれのなかに、世論や民意とされるものだって含まれましょう。そりゃそうでしょうよ。(そこで、「中央銀行の独立性」なるものが逆説的に尊重されるべきでもあるんじゃないの)


だからこそ、リフレをやりたいなら、リフレ論への理解と支持を広めないといけないわけでしょ。


ところが、リフレ派のやり方が、もうどうにもならなくて、
http://d.hatena.ne.jp/bewaad/20110425/p1

高橋先生は、世間的にはリフレ政策の主導者の一として認識されていらっしゃいますので、その信頼性は、リフレ政策のそれに直結いたします。高橋先生が専門外でどれほど誤ったことをおっしゃったとしても、世間的に「あれは専門外だからであって、ご専門については信頼できる」と認められるならば、webmasterもこんなことを申し上げる必要はありません。しかし残念ながら、世の中では、そのように分別されるとは限りません。専門外のデタラメな主張が、専門分野の信頼性を傷つけることはよくあることです。高橋先生におかれては、このような「外部性」をご認識いただき、きちんと裏をとった主張をしていただきたく。

というのが、正されるどころかますますひどくなるばかりなわけでしょう?


高橋洋一を罵倒するリフレ派っています?いるかもしれないけど、僕は知らない。いたらごめんなさいということだけど、多少の良心がまだリフレ派にあるんだったら、高橋洋一は罵倒しなきゃダメなはずでしょ。無責任も甚だしいんですよ。


リフレ論をめぐる議論は最低でも10年以上は続いてるけど、一体なんだったんだって。そら虚しくもなりますよ、傍観者としては。


追記
リフレ派寄りのhimaginaryさんのブログは、いつも分かる範囲で読むんだけれども、経済学をめぐる議論の一番の錯覚って、これじゃないかとはいつも思うんだよね。翻訳部分だけど。
プラトニック経済学 - himaginaryの日記

プラトン主義的な見方が経済学で存続できるのは、経済学モデルが数学的(その意味でプラトン的)で、間違いを決定的な形で証明することが決してできないからです。オバマ大統領の刺激策は機能した、なぜならばそれなしでは経済は悪化していたからだ、と言うことができます。その一方で、その政策は失敗した、なぜならばそれがなければ経済は改善していたからだ、と言うこともできます。しかし、刺激策なしで経済がどうなっていたかを決定的に証明することはできません。こうした議論を比較衡量する合理的な方法は存在しますが、それによって人々を説得し、考えを変えさせるということはまず起きません。物理学モデルは、いつでもどこでも再現可能な実験で検証できますが、経済学モデルではそれはできないのです。そのためプラトン主義的な見方を維持することが可能になります。

だから、ニセ科学批判の立場を仮にとるとするならば、経済学なんて「ニセ科学」の最たるものと言わなきゃおかしいわけだ。


というのも、「数学的」に見えるだけにそれがより科学的・合理的で真実性が高いという錯覚を引き起こしやすいからで、もしも「科学のレッテル」問題を当てはめるなら経済学そのものにだってこれは言える。


そこで経済学は「ニセ科学」だと言われないようにするには、経済学と物理学は違うという、ごく当たり前のことをよくよく前提にして論ずるしかないんじゃないですか。そうすると、「科学のレッテル」問題から除外されるから。それこそ、経済学なんてギリシア哲学とたいした違いはないんだよ、で終わる。


そこをごまかすと、素人相手に「これが正しい」でひっかけるのは実に容易だ。ホメオパシーの協会が世界中どこでも「科学的に説得力のある論文がこんなにある」と主張するのと全く同じ論法で、「アメリカの偉い学者がこう言っている」からこの意見は正しいという論法はどこでも見られるわりに、それ本当?という吟味はあんまりしない。


もちろん、どういう意見がより説得力があるか、妥当性があるかは、素人に分かるはずもなく、専門家が議論して下さい、ということなんだけれども、素人には「経済学はあんだけ数学を扱うわりに意見がバラバラだ(ギリシア哲学のように)」というそもそもの前提が頭に入りにくい。


さらにさらに、中央銀行が現実の政策として実行するものが、経済学が安直に考えるようなものとずれてくるのはむしろ当然で、それが現実に対する責任というものじゃないの?ということも、素人には前提として頭に入らない。


むしろ、「経済学という学問ではこうなっている」「えらい学者がこう言っている」で終わってしまうのが普通だ。そら、えらい学者の言うとおりにやれと素直に思うわね。えらい学者だったバーナンキが今どうなってるかとか分からんのだから(念のために書いておくと、バーナンキを腐したいわけではない)。で、おそらくそちらの方が問題なんだな。プラトンがこう言っている、終り、じゃ、話にならないし、誰もそういうふうに思わないのが当然だし、またそうあるべきでもあるわけで。


話ちょっと変わるけど、himaginaryさんの翻訳では、次のなんか面白いと思ったなあ。
日銀は白い呪術師を必要としているか? - himaginaryの日記

大英帝国は食事やスペリングなど多くの点でヘマをやらかしているが、彼らは次の点では正しい道を歩んでいる。即ち、最良の中央銀行家を世界中からヘッドハントし、イングランド銀行の首脳に据える、ということを進んで実行している。

ところが、今のイングランド銀行の総裁って、面白いと言うかお気の毒と言うか大変と言うか、イギリスが金融緩和したときに日本のリフレ派はあんだけきゃっきゃ言ってたけど、実際はこういう人なんですってね。


英中銀・キング総裁と緊縮財政について - カンタンな答 - 難しい問題には常に簡単な、しかし間違った答が存在する

英国におけるリーマンショック後のリフレ政策(量的緩和)の顛末については、その後の経過がよろしくない為か、リフレ派の論者にはまともに取り上げられることが少ないが、その数少ない言及に於いては、英国の現状の責任を政府の緊縮財政に向けているものが多く、又、その中にはキング総裁はきちんとリフレ政策を推進しようとしているのに政府に足を引っ張られているという見方も散見される。

もちろんリフレ政策によって景気が回復するという単純な視点をキング総裁も共有していると考えれば、その効果を打ち消すような緊縮財政は足を引っ張っているという見方が妥当であり、もしキング総裁がそういった意味での「リフレ派」なら、緊縮財政には否定的な見解を持っていてもおかしくは無い。


しかし現実にはキング総裁は以前より政府は大胆な財政再建を行うべきとの考えを示しており、前政権時代にはそういった財政に対する意見は越権的であるとして、政府と緊張関係に陥っていたこともあった。 緊縮財政を進めている現オズボーン財務大臣は当時は野党の「影の財務大臣」の立場からキング総裁の財政再建推進の立場に賛意をしめしており、政権交代後の現政権の財政はキング総裁の主張していたものに近づいていると考えられる。

その理由はいたって単純なものであり、放漫財政の尻拭いを金融政策が行うことは不可能であり、現状のままだといずれ高インフレに陥らざる得ないということである。この現状認識は中央銀行に於いてはごく一般的なものであり、欧州中央銀行のトリシエ総裁も日銀の白川総裁も過去に同様の懸念を示している。


つまりキング総裁はリーマンショック後に量的緩和を行い、流動性不足によるデフレスパイラルに落ち込む事は阻止したものの、その結果としてのインフレ誘導が急速な景気回復をもたらし、自然と財政の健全化が達成されるというリフレ派の「理想的なシナリオ」は信じていないことになる。

日本のリフレ派のぬかよろこびのあれは一体なんだったのと思うわね。イングランド銀行のパンフレットの翻訳まで作ってさ。
イングランド銀行パンフレット「量的緩和とは何か」 - リフレ政策ポータルWiki
http://mathdays.web.fc2.com/qe-pamphlet_boe.pdf


リフレ派ってバカじゃないのとそりゃ言いたくもなるし、よく素人ひっかけてきゃあきゃあ言ってるよな、ホント。で、高橋洋一みたいな嘘つきのホラ吹きは罵倒するどころか、手を叩いて喜ぶわけでしょ。もう本当にひどい話だよ。

追記2)
http://twitter.com/hidetomitanaka/status/188891690344513539

しばしば暗黒卿とかいってるけど、僕は高橋さんほど純情で面白いおっさん知りませんよ。悪い噂してる人がいればそいつがアホか悪人。そんだけ。RT @katsurin0620 高橋洋一氏の評判悪い噂を聞きますが大丈夫でしょうか?

そら「面白いおっさん」ではありましょうよ。夕刊紙レベルにしかものを書けないいい加減なおっさんなんだから、きっと面白いには違いないよ。でも、面白いからつって、信頼性があるかどうかはまた別だわな。


。。。という、まともな突っ込みする気もなくすくらい、この人たちは本当におかしくなってるね。高橋洋一って、結局はただの窃盗犯以上のなにがあるの、この人。悪人っつうなら、この元大蔵官僚のほうがよっぽど悪人じゃないか。たぶん、分かってて無茶苦茶言って素人釣ってんのこのおっさんでしょ。


そらね。数学の人はちょっと変人だというのはありがちな話だし、少々手癖が悪いのだって、まあいいでしょうよ。しかし、言うことが無茶苦茶なのに、何で信頼できんの、この人。


こんな人いつまでも担いでるから、だからリフレ論争の10年って一体なんだったのと、そら言いたくもなるわけですよ。