無題

これはホラ話としては面白いんだけどね。
「ひろゆき」みたいな人間が増えていくと,人類は滅亡する!――川上量生氏との対談企画「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」年末特別号 - 4Gamer.net
一応、このブログではネットに範囲を限った話としていろいろ書きなぐっていることが多いわけだけれども、ネット民がものを考えなくなってるんじゃないかというのは別に今に始まったことじゃなくて、きっと本が大衆に普及したときとかも同じように言われていたに違いない。


なにより、いわゆる「ライフハック」ものが受けるとか、くだらない記事がはやるとかいうのは、別にネットに限った話ではなくて本でも同じはずで、今までもこれからも他人に考えてもらうだけなのではないのかな。


そういう風に考えれば、「自分で考える奴が少なくなる」というのは「何も今さら」という話でもあり、「ネットの影響力を過大に見すぎ」とも言えると思う。少なく「なる」んじゃなくて、もともとそんなもんだったんじゃないの。


ようはネットがなくたって、「驚異のなんたら法」や「なんたらのすすめ」の類の本を買ってもっともらしい顔をして読んでるであろう人がネットで同じことをやっているに過ぎないのであって、そこが誰にでも目に見えるようになってるだけなんでしょ。で、Twitter はその意味ではすごい代物だね、と。

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 でも,現実として起きている現象がなんなのか。今日の川上さんの話を聞いていると,それってつまり,本来は100人の人間がいたら100個のCPUがあるはずが,実際はどこかに一つCPUがあるだけの状態で,性能は上がっていないのではないか――そういう話ですよね。

川上氏:
 性能はむしろ下がっていますよ。集合知は,知性体としては優秀な人間よりは馬鹿です。そして集合知というコンピュータの中では,人間はもうCPUじゃないんですよ。人間はCPUじゃなくてリレースイッチか何かで,その事実に気が付いていないんです。

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 ああ,電気を通すだけみたいな。

※つまり,他人の考えたこと(思想,視点,あるいは感想)をただなぞるだけの人間を指して,電気を右から左に流すだけの装置(リレースイッチ)に喩えている

川上氏:
 そうそう。だってそういう役割をやっているわけでしょ。実際。ネットで炎上なんかの祭りに参加したり,政治の議論で工作員として活動する人たちは,完全にそれですね。自分ではなにも考えてない。

ネット○○派の主導者なり有力者なりたちが繰り広げたなんちゃって議論がテンプレ化して拡散していくってのが、まさにこれだね。


人権擁護法案反対運動が派手にこれをやったのを筆頭に、ネット右翼はもちろん、ネット○○派として僕が変だと言っているのはたいていこれ。


問題は、ただ思考をなぞっているだけではなくて、なぞられた思考なりが正義であったり善であったりするために、そこに乗っかる人間が多数出てきて、声のでかさで押してしまう、それで本当にいいの?ことの善悪をそういう形できめちゃっていいの?という問題を、このブログでは常々書いている。これはネット○○派のようなネット上の徒党をやる人たちに限ったものじゃなくて、これを書いている自分も含めて誰にでも言えるはずなんでしょう。


で、Twitter、とくにRT機能ってまさにこの逆をいってるんですよね。単に思考をなぞってるだけじゃなくて、ある有名人なりネットの知人が書いたことにあまり疑問を感じないまま「つながり」ができてしまう。「つながり」の外にあるものは、「無関心」か「敵」でしょう、と。


そういうことが、Twitterで目に見えるようになったんだろうな。