ネット○○派 part180 TBSラジオで漢方と鍼灸を擁護した人にこんなものを書く資格はないよな

http://synodos.livedoor.biz/archives/1637221.html
まず、ホメオパシーをめぐっての続きを書くべきでしょうよ。書けないんでしょうけど。消費者問題懐疑主義との間で分裂してるので。


で、岩沢さんはスイス在住だから日本の空気が分からずうっかり当たり前に書いたんでしょうけど、ヨーロッパの大手メディアで、そりゃガーディアンとかはどっちかというと左派で、高級紙だからホメオパシーには常に批判的ですけど、両論併記的な態度をとるところもあるだろうと思う。欧州ではホメオパシーは浸透しちゃってるから。岩沢さんが紹介していたスイスの新聞でも、編集者ブログではホメオパシーをわりに好意的に、本紙のほうでは批判的な意見も載せる、という形だった。その辺はもう省略。


そうなると、スイスの新聞でもそういう表現はあったんだけど、効く効かないの議論で完全に「信仰戦争」になっちゃう。


問題の一つはこれなんだよな。

この記事の問題点が何に由来するのかは、中ほどに書かれた「筆者自身も、ホメオパシーの効果は実感として分かる」から始まる段落で明らかである。もちろん、レメディを飲んだら体調がよくなったという岩澤氏ご自身の体験は事実なのだろう。


しかしながら、これがなんらホメオパシーの効果を証明するものではないことは、ニコ生の記録をお読みいただければおわかりいただけるはずだ。「飲んだ」と「よくなった」のあいだには時間の前後関係はあるが、それはなんら因果関係を証明しない。この時間順序と因果関係の混同は、ホメオパシーに限らず、怪しげな健康食品や代替医療の問題等に共通に見られる誤りなのである。

ごくごく一般の感覚から言うと、この点は大事じゃないんだと思う。


。。。って、いや、僕自身は菊池先生の意見に賛成というか、よく分かりますよ。個人的経験を、科学的な因果関係と混同したり、あるいは混同しなくてもそれを過剰に評価するというのは正しくない。


でも、科学的に効果がないということと、プラセボであっても「治った」ならなんでもいいから使えばいいじゃないかということの間には差がある。ホメオパシーが「効く」と言う人は、どこの国でも個人的体験を根拠にしていることが非常に多いらしくて、そこはもう個人の選択の自由の問題にしかならない。科学がどうこう判断する次元の問題じゃない。いくら個人的体験は科学的な因果関係とは関係がないと言ってみたところで、そういう問題じゃなくなってる。


問題は、科学的に効果がないとはっきりしているうえで、たとえ「強いプラセボ効果」しかないものであっても「効く」からホメオパシーを使おうという人がいた場合、その選択を認めるか認めないか。


その上で、朝日のような大手メディアがこの手のものを好意的な紹介記事を書いてはいけないのか。

・・・

菊池先生のエッセーでは、朝日はホメオパシーの擁護記事を書いてはいけないと言うことで、つまりは科学の判断を優先させろということなんだが、であるならば当然、鍼灸も漢方も、朝日のような大手メディアは好意的に扱ってはいけないはずなんだ。


にもかかわらず、そこでヘタレて政治的に配慮するのが菊池先生の常だ。TBSラジオという公共の媒体を使って、漢方薬鍼灸を擁護したのが「ニセ科学批判の第一人者」って冗談にも程がある。鍼もホメオパシープラセボなのに、痛みを緩和するくらいなら鍼でもいいって、だったらホメオパシーでも風邪・頭痛・腹痛くらいだったらいいんじゃないですか、と言わなければ筋が通らない。
ネット○○派 part41 理解不能Ⅱ 菊池先生の失言 - 今日の雑談


朝日新聞「女性のための漢方セミナー」なんて開いてるけど、ただ漢方の問題というだけでなく、「自然派志向」に向かわせるきっかけにもなっているはずで、これを叩かない手はない。


筑波大学大学院のスポーツ医学分野における鍼灸研究の紹介記事をなぜ叩かない。ただのプラセボなのにもっともらしく研究する意味はない。金の無駄。
http://ameblo.jp/senshinryochi/entry-10547965145.html


79歳のおじいちゃんが鍼灸の専門学校に通っている記事がよい理由はなんだ。林立する専門学校の儲けのために、老後資金をドブに捨てているだけではないか。
http://mytown.asahi.com/iwate/news.php?k_id=03000521005120001


こういう主張は決して「極端」ではない。ここまでホメオパシーを叩くならば、筋を通すとこうなる、こうなって当然だというだけのことでしかない。


当たり前の主張にならない、ダブルスタンダードのことを「現実的な主張」とは普通は言わない。ただの矛盾。単にターゲットを恣意的に選択して叩いてるだけ。

11月時点で僕は「科学者がある程度努力しても、テレビで妙な番組を一つ放送されるだけで台無しになってしまうのが現実なわけで、科学者だけでは如何ともしがたい面があります」と追記した。この「テレビで妙な番組を一つ放送 されるだけで」の次にさらに以下の一節を追記したことにしたい。


「、あるいはWEBRONZAに不用意な記事が一つ掲載されるだけで(泣)、」


最後の「(泣)」は超重要である。

鍼はただのプラセボだ、漢方薬はまだ科学的検証が足りないので医者は使うべきではないとすら言えないどころか擁護し、ニセ科学批判の実態は消費者問題でしかないという側面さえ認められず、懐疑主義合理主義を気取ってニセ科学批判を語る科学者に、こんなことを言う権利は全くない。仮にも大阪大学の教授が無茶苦茶言っているのを見て泣きたくなるのはこっちのほうだ。


もっと悪いのは、こんなもんにひっかかるネット民。早川先生のホラにはしたり顔でつっこむのに、この当たり前の道理がなぜ分からない。